刈川啓志郎選手“簡易ドーピング検査で陽性疑い”は何を意味するのか|時系列と制度の問題点を整理
選手ニュース2026年1月21日

刈川啓志郎選手“簡易ドーピング検査で陽性疑い”は何を意味するのか|時系列と制度の問題点を整理

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先日、JBBFトップ選手として知られる 刈川啓志郎 選手 刈川 啓志郎 が、自身のYouTubeチャンネルにて 「みなさまにお伝えしたいことがあります。」 というタイトルのライブ配信を行いました。

その中で語られたのは、刈川選手が過去に受けた「簡易ドーピング検査」において、陽性疑いとされる反応が出ていたという事実でした。 この告白は瞬く間に拡散され、フィットネス・ボディビル業界に大きな波紋を広げています。

この記事では、刈川選手がどのような経緯で簡易ドーピング検査を受け、どの時点で陽性疑いとされたのかを時系列で整理するとともに、 簡易ドーピング検査という制度そのものの問題点についても掘り下げて解説していきます。


簡易ドーピング検査で陽性疑いが出るまでの経緯

まずは、ライブ配信内で刈川選手自身が説明した内容をもとに、2024年に受けたドーピング検査の時系列を整理します。

第59回東京ボディビル選手権大会

優勝(公式リザルト表)。大会後に簡易ドーピング検査を受検。

第70回日本男子ボディビル選手権大会

3位入賞(公式リザルト表)。簡易ドーピング検査とJADAによる正式な尿検査を受検。

JURASSIC CUP

GRAND CLASS優勝(公式リザルト表)。再び簡易ドーピング検査を受検。

検査結果通知

8月の簡易検査について「二次検体で高濃度な数値を示している物質がある」との連絡を受ける。

以上が、2024年に刈川選手が受けたドーピング検査の時系列です。

そして翌年 2025年5月、簡易ドーピング検査を実施した組織から、次のような連絡を受けたといいます。

「2024年08月03日に受けた簡易ドーピング検査の二次検体において、
他の選手よりも高濃度な数値を示している物質がある」

一方で、約2か月後に受けていたJADAによる正式な尿検査では陰性という結果が出ていました。
刈川選手自身は、この正式検査の結果をもって「身の潔白は証明された」と認識していると語っています。

ここで、刈川選手が2024年に受けた各ドーピング検査の結果を、改めて整理します。

陽性疑い簡易検査

大会:第59回東京ボディビル選手権大会

後日、二次検体にて平均値より高い数値が検出されたと通達。検出物質は特定されていない。

陰性簡易検査

大会:第70回日本男子ボディビル選手権大会

特段の問題は指摘されていない

陰性JADA検査

大会:第70回日本男子ボディビル選手権大会

正式な尿検査で陰性(禁止物質の検出なし)

陰性簡易検査

大会:JURASSIC CUP

問題の指摘なし

このように、問題が指摘されたのは過去の簡易ドーピング検査の二次検体のみであり、 競技上の処分やドーピング違反の確定につながる事実は確認されていません。

多くの読者が抱く疑問

つまり、刈川選手は簡易ドーピング検査で「偽陽性」となっただけなのでしょうか?

この疑問に答えるためには、簡易ドーピング検査の性質を理解する必要があります。


陽性疑いの心当たりとなる薬やサプリは何か?

刈川選手が心当たりとして挙げたのは、アトピー治療のために使用している
「アンテベート軟膏0.05%」 でした。

アンテベート軟膏0.05%は、

  • 湿疹
  • 皮膚炎
  • 乾癬

などの症状を抑えるために処方される、**医療用ステロイド外用薬(とても強いランク)**です。

ステロイド軟膏とアナボリックステロイドの違い

皮膚炎治療に使われるステロイド軟膏と、筋肉増強目的で使用されるアナボリックステロイドは、一般的にほぼ別物です。

両者が「ステロイド」と呼ばれる理由は、化学構造上の骨格が共通しているという点に過ぎません。炎症を抑えるタイプと筋肉を増やすタイプが同じ「ステロイド」という大きな分類に含まれているだけであり、アルコール飲料と消毒用アルコールほど用途も作用も異なると考えると理解しやすいでしょう。

そのため、刈川選手は今後も医師の指示に従い、アトピー治療としてステロイド軟膏を使用していく方針だと語っています。


そもそも簡易ドーピング検査とは?

JBBFが実施している簡易ドーピング検査は、JADAによる正式な検査とは異なり、
別の機関が行うスクリーニング目的の検査とされています。

詳細な検査手法について公表資料は多くありませんが、刈川選手はライブ配信内で次のような説明を受けたと語っています。

  • 検体は1次検体と2次検体に分けて検査される
  • 1次検体は筋肉増強作用のある物質に特化
  • 2次検体はそれ以外の広範囲な物質を対象
  • 2次検体で「どの物質が高濃度なのか」は検査団体側も特定しておらず、本人にも知らされない
    (34:55付近)

また、JBBFが2023年4月に公開した
簡易ドーピング検査導入のためのデータ収集に関する資料 には、次のような説明があります。

簡易ドーピング検査の正式導入に先立ち、多くの選手よりデータを集め、基準となる数値を確定していきます。
首後ろの汗をぬぐい、皮脂から検出される物質のデータを集め、生来身体にある成分の平均値を基準とします。

つまり、

  • 汗や皮脂から得られたデータを平均化し
  • その平均値と大きく乖離していないかを確認する

という、非常に簡易的な比較検査である可能性が高いと考えられます。

もし検体が皮膚表面から採取される方式であれば、
皮膚に塗布していたステロイド軟膏が局所的に高濃度で検出される可能性は理論上否定できません。

一方で、同時期に行われた 尿検査では陰性 であることから、
体内にまで影響が及んでいたとは考えにくい点も重要です。


なぜ簡易ドーピング検査の結果が出るまでに半年以上かかったのか?

刈川選手が簡易ドーピング検査を受けたのは 2024年8月 ですが、
陽性疑いの連絡を受けたのは 2025年5月 とされています。

この約10か月という期間について、刈川選手自身も明確な説明を受けていないと語っています。

本人の推測では、

  • 1次検体(筋肉増強物質特化)は比較的早く検査される
  • 2次検体は後回しにされていた可能性がある

とのことでした。

しかし、

  • 検査結果が出る時期
  • 途中経過の共有
  • 遅延理由の説明

といった点が不明瞭であったことは、選手側にとっても大きな不安要素だったと言えるでしょう。


今回の騒動の問題点

アンチドーピングを掲げるフィットネス業界において、
「陽性疑い」という言葉は非常に強いインパクトを持ちます。

今回の騒動で浮き彫りになった問題点は、主に次の2点です。

問題点① 簡易ドーピング検査の目的・仕組みが不透明

  • 何を基準に「高濃度」と判断しているのか
  • どの段階で「陽性疑い」とされるのか
  • 結果の位置づけはどこまでなのか

こうした情報が十分に共有されておらず、選手・観客ともに結果の意味を正しく理解しにくい状況があります。

問題点② 簡易検査の結果が一人歩きしてしまう危険性

簡易ドーピング検査は本来、確定診断ではなくスクリーニングです。それにもかかわらず、「陽性疑い」という言葉だけが独り歩きすると、

  • 違反が確定したかのような誤解
  • 選手の名誉や競技人生への影響

につながる恐れがあります。

今回、刈川選手が自ら説明の場を設けた背景には、 こうした誤解を防ぎたいという思いがあったのかもしれません。


結局、刈川選手はナチュラルなのか?

現時点で整理できる事実は次の通りです。

  • 簡易ドーピング検査で平均値から乖離した数値が検出された
  • JADAによる正式な尿検査では陰性
  • 禁止物質の特定や処分は行われていない

結論

これらを踏まえると、少なくとも「ドーピング違反が確認された」と言える状況ではありません。

今回の件は、個人の問題にとどまらず、簡易ドーピング検査という制度そのものの在り方を考え直す契機となった出来事だったと言えるでしょう。

刈川 啓志郎

刈川 啓志郎

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